朝のあいさつがよくできるようになりましたね。皆さんが心掛けて朝のあいさつをするようになり、学校がとても元気になりました。しかし怒ったような顔や、無表情であいさつする人もいます。大切なのは『笑顔』なのです。『笑顔であいさつ』が本当のあいさつであり、どちらかというと『笑顔』のほうが大切なのですね。笑顔には不思議な力があるのです。そこで今日は『笑顔』のもたらす不思議な力の話をします。真山美保さんの書いた『泥かぶら』というお話です。
「あるところに、一人の顔の醜い女の子がいました。いつも薄汚れ、蕪のような形をした顔だったので、村の子どもたちから泥かぶら≠ニいってからかわれ、いじめられていました。しかし泥かぶらも負けてはいません。いじめられると、石を投げたり竹の棒を振り回して暴れるのです。
ところがある日のこと、村に一人の旅の老人が通りかかり、竹の棒をふりまわして暴れている泥かぶらに話しかけます。
『おまえがそんなに悔しいなら、きれいになる秘訣を教えてあげよう。これから言う三つのことを守れば、お前はきっと村一番の美人になれる』と教えて立ち去っていきます。旅の老人が泥かぶらに教えたこととは、いつもにっこり笑うこと、人の身になって思うこと、自分の醜さを恥じないことの三つでした。
泥かぶらは本当だろうかと悩みましたが、美しくなりたい一心で、その日から血のにじむような努力を続けました。この日から泥かぶらの相手は村のいじめっ子ではなく、自分自身になりました。何を言われても、されても笑顔で応える自分。今までされていた意地悪を忘れて困っている村人を手伝う自分。ほかの子どもと比較して卑下することのない自分になるための努力。決心は何度も中断され、度々諦めようとしますが、その度に気をとり直して努める泥かぶらの顔からは、いつしか憎しみが去り、心も穏やかになっていきます。やがて、明るく気持ちのよい子に生まれ変わった泥かぶらは、村の人気者となり、子守りにお使いにと村人たちから頼りにされます。
そんなある日のことです。自分と同じ年頃の村の娘が人買いに買いとられていくのを知った泥かぶらは、自分から進んでその娘の身代わりとなり、人買いに連れられていきます。しかし、道々楽しげに村の様子を話し、自分がかわいがって世話をした村の赤ちゃんについて語る泥かぶらの話は、いつしか凶暴な人買いの心を動かしはじめます。そしてその人買いは、今まで自分がやってきた過ちを悔い、置き手紙を残して立ち去っていきます。その置き手紙には、『ありがとう。仏のように美しい子よ』と書かれていました。その手紙を読んだ泥かぶらは、かつて旅の老人が話してくれた『村一番の美人になれる』という言葉の本当の意味を理解することができたのです。」
笑顔が人を美しくするのです。それだけではなく、周りの人に安らぎと勇気を与え、それが次々と広がっていく魔法の力を持っているのです。
泥かぶらのほほえみも、思いやりも、そして正しく自分を知ることも、人が生まれながらに身についているものではありません。泥かぶらがしたように、一人一人が自分で心掛けて育てていかなければならないものです。旅の老人の言葉を自分にいわれたものとして受けとめ、努力してほしいと思います。
一日一回はあなたの顔を鏡に映してください。笑顔が見えますか? (校長) |